水文・水資源学会誌
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原著論文
タイ東北部におけるゲート管理人密度を考慮した水分配モデルの構築
樋口 克宏戸田 修吉田 貢士宗村 広昭丹治 肇
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2007 年 20 巻 3 号 p. 167-190

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抄録

本研究では,タイ東北部のかんがい2地区を対象とし,ゲート管理人密度を考慮した水分配誤差の変動を扱った.対象地域では,水不足が近年続いており,適切なゲート操作による効率的な水分配が課題となっている.そこで,ゲート操作人数の影響と水分配の定量的把握を行うため,分水工と余水吐からなる一次元水路モデルを構築した.この際,低水管理によるゲート操作を基に,施設に関わるパラメータと,操作に関わるパラメータを想定し,1日から2週間にかけての水配分誤差の計算を行った.解析の結果,中流量であれば,ゲート操作人密度が増加することにより,各分水工への分水量の相対誤差は減少するが,区間外への流出量の誤差は,ゲート操作人密度の増加に伴い,必ずしも減少しないことを示した.この際,ゲート操作が2時間で終了する場合には,水分配の誤差は,5%以内であった.しかし,2週間全体では,現状の低い管理人密度であっても,設定開度が正しい場合,日々の定時操作により,誤差5%以内の水分配は可能であった.高流量であれば,ゲート管理人密度に関係なく越流が生じ,下流側への流量が10%程度減少することを示した.

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© 2007 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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