水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
原著論文
森林の水源涵養機能に土層と透水性基岩が果たす役割の評価
小杉 賢一朗
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2007 年 20 巻 3 号 p. 201-213

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抄録

森林の水源涵養機能の定量化が社会的に求められていることを背景として,本研究では,土層と透水性基岩のインタラクションを考慮した水文観測ならびにモデル解析により,水源涵養機能に関して土層と基岩のそれぞれが果たしている役割の評価を行った.風化花崗岩を母材とする森林小流域における水文観測結果より,土層からの流出は洪水ハイドログラフを形成するが降雨後には直ちに消滅してしまい,山地河川の基底流は基岩からの流出により維持されていることが示された.この観測結果を受けて,透水性基岩を有する森林斜面における降雨の浸透・流出プロセスを数値シミュレーションで解析したところ,基岩からの流出が無降雨時の渓流水の直接の涵養源となっているのに対して,土層は降雨を一時的に貯留して波形を緩やかに変換した上で系外に放出するバッファーの役割を果たしていることが示された.以上の結果,透水性基岩を有する森林斜面の雨水貯留容量を,単純に土層内の「貯水に有効な孔隙の総量」として定量化するだけでは不十分であり,土層が持つ降雨波形の変換能力や,放出成分の配分特性に着目して検討することが重要であることがわかった.

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© 2007 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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