生育地,生活形態の多様な樹種の樹冠葉における蒸散速度,気孔コンダクタンス,葉・土壌の水ポテンシャル等を測定した.また,P-V 曲線法を用いて葉の水分特性を評価した.そして,得られた通水コンダクタンス,葉の水分特性および蒸散速度を関連づけて解析することにより,多様な樹種の高木個体における水利用様式を明らかにした.冷温帯落葉広葉樹種のブナは通水コンダクタンスが高い反面,葉の初発原形質分離点の水ポテンシャルは高く,脱水を避ける水利用様式を採っていた.温帯常緑針葉樹種のヒノキでは,乾燥期に通水コンダクタンスおよび蒸散速度の低下が見られ,通水障害に対して気孔閉鎖を起こしていたと思われる.暖温帯常緑広葉樹種4種では常に気孔コンダクタンスを低く抑制していた.また,乾燥期には浸透調節を行って葉の耐乾性を高めるなど,乾燥条件下での生存に有利な水利用様式を採っていた.熱帯常緑広葉樹種2種は通水コンダクタンスが低かったが,Dipterocarpus sublamellatus Foxw.は他の2種と比較して通水コンダクタンスが高く,通水距離の増大を克服する給水システムを有している可能性が示唆された.