2010 年 23 巻 2 号 p. 157-170
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書第2作業部会の報告(AR4/WG2)に, 気候変動影響の実態と今後の見通し, 影響軽減のための対策(適応策)と脆弱性についての最新の科学的知見が取りまとめられた. 本稿では, AR4/WG2により報告された, これまでに観測された気候変動による自然環境・人間社会への影響と将来の気候変動の影響予測について, 全体の概要とともに日本における影響や淡水資源とその管理に着目して紹介する. さらに, 淡水資源とその管理に関連した研究の課題とともに, 第5次評価報告書(AR5)に向けた気候変動影響評価研究の今後の課題について論じる.