道路は社会中の重要なインフラストラクチャであり,様々な都市要素をリンクする役割を果たしている. しかしながら,道路網の建設により流域の空間特性が大きく改変されるにもかかわらず,道路ネットワークと氾濫流の挙動との関係を直接的に評価する研究はほとんど行われていない. 本研究では,都市域の氾濫パターンが道路網の存在によってどう影響されるかを検討し,道路に水害軽減機能を持たせる戦略的なイニシアチブを提唱した.
ケーススタディを通して, 氾濫流フロントが道路によって加速され得ることと,道路が囲い込んだ区域に水害リスクが高くなる可能性を指摘した.道路が適切に設計されれば,氾濫流の誘導・分散により,氾濫による被害を軽減できることを示唆した.