水文・水資源学会誌
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研究ノート
モウソウチク(Phyllostachys pubescens)林における降雨流出過程の解明に向けて
-地表流とバイオマットフローの観測-
藏本 康平篠原 慶規小松 光井手 淳一郎大槻 恭一
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2011 年 24 巻 6 号 p. 360-368

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抄録

 近年,地表流やバイオマットフローは,森林における重要な降雨流出経路と考えられるようになっている.モウソウチク林は西日本における主要な森林タイプの一つであるが,地表流やバイオマットフローを観測した事例は存在しなかった.本研究は,そうした事例を蓄積することを目的として,福岡県のモウソウチク林内に地表流観測プロットを6プロット,バイオマットフロー観測プロットを3プロット設置し,観測を行った.地表流の総量はプロットによって異なり,地表流流出率(地表流量/降水量)は,0.6 %から35.5 %であった.本研究で観測された地表流量は,先行研究におけるヒノキ林のものと比較して明確に小さく,スギ林,広葉樹林と比較しても小さい部類に入った.また,バイオマットフローはほとんど観測されなかった.モウソウチク林には本研究で対象としたものと立木密度や根量などが大きく異なるものがあるため,今後は様々なモウソウチク林での観測事例の蓄積が望まれる.

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© 2011 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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