2012 年 25 巻 4 号 p. 201-213
低平地河川である六角川の流域では,内水の自然排水が困難であり,内水排除のための排水機場が多く設置されている.六角川,牛津川ではポンプ排水量が洪水流量に対して無視できない大きさのため,外水氾濫の危険性を増大させずに内水氾濫被害を軽減する適切なポンプ運転操作方法が求められている.本研究では,ポンプ排水が洪水流に与える影響を明らかにすることを目的としている.解析に必要な有明海における大きな潮位変化,支川,排水機場からの流入量,高水敷に繁茂するヨシの抵抗を評価するため,河道の水位計の他に,多くの排水機場,排水樋管の外水位データを活用し,水面形時系列観測データを用いた六角川,牛津川の非定常二次元流解析法を構築している.計画高水位を超える出水となったH21.7六角川,牛津川洪水に,解析法を適用し,その妥当性を示した.そして,ポンプ排水量が洪水時の最大流量と最高水位等に与える影響を示すとともに,本解析法を低平地河川の河川管理に用いる方法を検討した.