水文・水資源学会誌
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原著論文
水力発電による他国への新規売電を阻む内政および外政上の困難に関する考察
中山 幹康佐々木 大輔伊藤 園子
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2015 年 28 巻 2 号 p. 72-83

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抄録

 水力発電による電力を外国に新規に売電する場合に,電力を輸出しようとする国が直面し得る内政および外政上の困難について,アイスランドとタジキスタンの事例よりその本質を明らかにし,適用可能と思われる対策を提言することを研究の目的とした.文献調査および当事者と有識者からのヒアリングより得られた知見は以下の通りである.アイスランドからの新規売電を阻害する要因としては,国内の家庭用および産業用の電力料金値上げへの懸念と,英国などの欧州諸国からの政治的な干渉を招く事への懸念がある.タジキスタンについては,ログン水力発電所建設による国内での国威発揚を政府が志向していることが障害となり,また,ウズベキスタンの反対も阻害要因である.これらの障害への対処として,アイスランドについては,電力料金の値上げにはつながらないことを政府が確約すること,情報の透明性と対称性の改善に努めること,国内外での「政治案件化」を防ぐことが肝要である.タジキスタンについては,売電による経済的実利を主眼とし,ウズベキスタンに対抗するためにログンダム建設に固執しないこと,が重要である.本研究からの提言としては,何が国民にとっての利益かを政府が明示すること,政治と経済を明確に分離すること,「勝ち組」と「負け組」を作らないことが挙げられる.

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© 2015 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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