水文・水資源学会誌
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原著論文
林床被覆が森林斜面における表面流発生におよぼす影響
若松 孝志池田 英史中屋 耕阿部 聖哉佐伯 明義
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2016 年 29 巻 2 号 p. 116-129

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抄録

 林床環境が表面流の発生におよぼす影響を明らかにするため,地表面に土壌の一部が露出したヒノキ人工林(ヒノキ林)と林床がほぼ完全に被覆したコナラを主体とする落葉広葉樹林(コナラ林)において,面積約1 m2 の調査プロットを設けて,林床被覆の状態,表面流出量および土壌水分量を継続的に調査した.両地点ともに,土壌浸透能は降雨強度に比べて極めて大きいにもかかわらず,ほとんどの降雨イベントで表面流が発生することが観測された.ヒノキ林はコナラ林に比べて,表層土においてより強い撥水性を示すとともに,土壌水分量の変動が大きく,降雨前の土壌水分量と表面流出率(表面流出量/林内雨量)の間に負の相関関係が認められた.そのため,土壌が乾燥した条件で撥水性がより強く発現することにより,表面流の発生が促進されたと考えられた.一方,表層土の撥水性が小さいコナラ林では,ヒノキ林に比べて表面流出率の変動が小さく,降雨強度が小さい条件でも表面流が発生する傾向にあることが観測された.これらのことから,コナラ林では,雨水がリター層中を連続的に流れるリターフローが発生していると考えられた.

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© 2016 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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