富山県射水市新湊を流れる二級河川の内川は,流域の社会経済発展にともない流路が複雑化してきた.常に海水と淡水が複雑に交錯して流れており,多くの環境問題を抱えていることで知られている.2011年から継続的にADCP を用いた流速観測を行った結果,塩水楔が浸入する直前に全層で逆流する特異な現象を捉えている.この現象の流体力学要因を明らかにするために,VOF法を利用した数値解析を行った.その結果,観測結果とほぼ同様に,全層逆流現象を再現することができた.密度や圧力の計算結果によって,この逆流現象は,塩水遡上が淡水域を押し上げていることに因るものであることがわかった.