水文・水資源学会誌
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総説
欧州における数値天気予報を利用したフラッシュフラッド予測の現状
牛山 朋來佐山 敬洋岩見 洋一
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2017 年 30 巻 2 号 p. 112-125

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抄録

 近年数値天気予報の発展はめざましく,一定の条件下では予報降水量は洪水予測に役立てられている.これは,コンピュータの計算能力向上,衛星など気象観測技術の向上とデータ同化技術の発展,不確実性を考慮したアンサンブル予報の開発,によるところが大きい.欧州では,実際に5日先までの予報降水量を降雨流出モデルに導入し,ドナウ川などの国際河川の洪水予測の他,各国の洪水予測に役立てている.さらに,より小さい流域の河川についても,数値天気予報による降水量を利用したフラッシュフラッド予測の開発が積極的に進められている.しかしながら,我が国ではこのような洪水予測技術の開発は限定的である.本総説では,欧州で進められている,数値天気予報を用いた降水予測手法の現状,特に日本国内への適用が可能なフラッシュフラッド予測を紹介し,我が国における洪水予測技術の開発に有益な情報を共有する.

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© 2017 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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