水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
原著論文
融雪を考慮した土壌水分量の定量化とそれを用いた土砂災害発生危険度の判定
宮崎 嵩之中津川 誠臼谷 友秀
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2017 年 30 巻 2 号 p. 89-101

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抄録

 本研究の目的は,長期的な流域水循環に基づいて推定された土壌水分量から斜面災害の危険度評価を行うことである.近年,日本の至る所で大雨に加え急速な融雪による斜面災害が発生しており,今後地球温暖化が原因とされる気候変化によって,積雪地域ではこのような災害のさらなる増加が予想されている.本研究では,雨量と融雪量を入力値とするタンクモデルの水位で土壌雨量指数(SWI)と土壌水分貯留量(SWS)という指標を表し,土壌水分量を概念化した.また,対象災害事例において各土壌水分量を推定し,災害発生危険度を,スネーク曲線を用いることによって評価し,比較検討を行った.災害発生地点でのSWIとSWSを推定した結果,対象とした斜面災害は,貯留量が最大の時に雨量と融雪による影響を伴い発生したことを妥当に評価することができた.結果として本研究では,雨量および融雪量を考慮した水文モデルに適切な気象データを入力することによって,土壌水分量が高い状態が続くことによって生じる斜面災害発生危険度を予測することが可能であることを示した.

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© 2017 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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