水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
原著論文
土砂崩壊に伴う高濃度濁水が手取川扇状地水田の地下水涵養機能に与える影響
田中 健二瀬川 学藤原 洋一高瀬 恵次丸山 利輔長野 峻介
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2017 年 30 巻 3 号 p. 173-180

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抄録

 2014年10月に手取川上流で発生した大規模な土砂崩壊によって,平均で585度(カオリン),最大で4,012度(カ オリン)という高濃度の濁水が2015年灌漑期に観測された.この高濃度濁水が手取川扇状地内の地下水循環に影響を及ぼすことが懸念されているが,影響の実態は不明なままである.そこで,本研究では,高濃度濁水が手取川扇状地内の水田浸透量に与える影響について明らかにすることを試みた.濁水発生前の2014年,濁水発生後の2016年を対象として,45地区の水田で減水深調査を行い,水田浸透量の変化を分析した.その結果,2014年の水田浸透量の平均値は12.4 mm/dayであるのに対して,2016年は7.9 mm/dayであり,水田浸透量が有意に減少していることが明らかとなった.また,水田浸透量が減少した地区は,扇端部に多くみられ,これは粒径の細かい土砂が扇端部に多く供給されたためと考えられた.水田浸透量の観測結果に基づいて扇状地全体の地下水涵養量の変化を概算すると,水田からの涵養量(浸透量)は濁水発生前より36 %減少し,扇状地全体の地下水涵養量が濁水発生前より25 %減少したことが示された.

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© 2017 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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