水文・水資源学会誌
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総説
山地流域の水・土砂流出における空間スケールの影響(1):流域面積に対する水・土砂流出量の応答に関する観測例
浅野 友子内田 太郎五味 高志水垣 滋平岡 真合乃勝山 正則丹羽 諭横尾 善之
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2018 年 31 巻 4 号 p. 219-231

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抄録

 流域の水・土砂動態の観測結果を実態把握に活用し,予測精度を高めるためには,水・土砂流出における空間スケールの影響について理解することが重要である.本総説ではこれまでに得られてきた流域面積と平水時や出水時,それらを包含する長期的な水・土砂流出現象の関係についての調査・観測結果の収集と分析から,空間スケール依存性と空間不均一性に焦点を当て,空間スケールと水・土砂流出現象の関係を明らかにすることを試みた.その結果,流域面積に対して増加や減少などの一般的な関係が見いだされる物理量と,観測事例数が限られているなどの理由によって現時点では関係が不明瞭である物理量があった.また,これまでの調査・観測事例は空間スケール依存性か空間不均一性のどちらかに着目している場合が多かった.ピーク時の比流量など空間スケール依存性が着目されてきた物理量は,流出現象を支配する機構が空間スケールによって変化すると考えられる.一方,基底流時比流量など空間不均一性が調べられてきた物理量は,空間スケールによって流出現象を支配する機構が大きく変化しないため,相対的に場の条件の違いが流出に与える影響が大きかったと考えられる.

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© 2018 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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