水文・水資源学会誌
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総説
山地流域の水・土砂流出における空間スケールの影響(3):数値解析モデル上の取り扱い事例
横尾 善之丹羽 諭内田 太郎平岡 真合乃勝山 正則五味 高志水垣 滋浅野 友子
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2018 年 31 巻 4 号 p. 245-261

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抄録

 本稿は,山地流域の水・土砂流出現象の数値解析モデルにおける空間スケールの影響の取り扱い方に関する既往研究を調べた.まず,代表的な数値解析モデルを利用した研究における,(1)最小の空間スケールとその決定方法,(2)入力データとして利用する空間分布情報,(3)支配方程式の空間スケール依存性の3点を整理した.その結果,(1)の最小空間スケールは,利用する標高データの最小の空間スケールに依存すること,(2)の利用する空間分布情報は標高・土地利用・植生データが多く,その他は実測に基づくデータではないこと,(3)の支配方程式は対象とする斜面や河道などの「場」に依存し,空間スケールに応じて明示的に支配方程式が変化するモデルはなかった.次に,空間スケールの影響の取り扱い方自体を検討した既往研究を調べた.その結果,水流出モデルに関しては集中化できる面積(基準面積)や入力する空間分布情報の相対的重要性に関する知見が集積されつつあるが,土砂流出モデルについては同様の研究報告はなかった.以上を踏まえ,水・土砂流出モデリングにおける空間スケールの取り扱い方の今後の在り方の一つを提示する.

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© 2018 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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