東京都区部の下水道普及率は100 %に達しているが,合流式下水道が約80 %を占めるために,降雨時に多量の懸濁物質(SS)が河川に流入,下流汽水域に堆積し,降雨後に様々な水質問題が発生させている.これらの問題を解決するために,SSの発生・流下過程をモデル化し,汽水域に到達するSSを定量的に評価するモデルが必要とされる.本研究では,東京都呑川をフィールドとして,下水道内2か所の水深と濁度の連続計測結果をもとに,下水道流出計算ソフトウェアMIKE URBANを用いてモデルパラメータを調整することで,両地点の観測結果を良好に再現できた.次に,河道の一次元不定流モデルに全吐出口からの放流量を代入して数値解析を行ったところ,汽水域上流端に達するSSの経時変化も良好に再現できた.さらにパラメータ同定を行った出水とは別の3出水について同モデルを適用し,それらについても観測値を良好に再現できることを確認した.以上より,都市河川の水質環境を評価するためのツールとして,MIKE URBANが有効であることが示された.