私達はこれまで,河川の水位や流量を予測する際,主に予測雨量と流出・河道モデルのセットで対応してきた.しかし,前者も後者も不確定性が高く,実運用に役立つ汎用的な取り組みに至っていない.特に,ダム上流域では水位観測所やモデル構築情報も少なく,物理モデルによる水位・流量予測は,ダム下流の河川管理区間で実施される洪水予測よりも難しい条件にある.一方,センサーや通信ネットワークの技術進歩や安価化によりIoT(Internet of Things)が急速に進みつつある.そこで,分布型流出解析モデルから構成されるデジタル空間上に疑似的にセンサー設置を想定してDigital Twinを実現し,深層学習モデルの一種であるLSTM(Long Short-Term Memory)を活用してセンサーの数や位置の違いによるダム流入量予測精度の向上程度を検討した.この結果,センサー数を増やすことで基本的に予測精度は向上するが,データ特性の偏りは予測精度向上に貢献せず,それ故に流域内のセンサー設置数にも限界があることを示した.逆にデータ多様性に留意してセンサー位置を決めることで予測精度向上に繋がることも示した.