2022 年 35 巻 4 号 p. 255-266
2018年6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に記録的な豪雨が発生した.梅雨前線による広域で長期的な豪雨に加えて局所的に線状降水帯が形成され,多くの河川において長期にわたる高い水位や洪水氾濫が発生した.災害軽減のためには大雨を早期に予測することが重要となっているものの,とりわけ,線状降水帯の発生位置や発生時刻を精度良く予測することは難しいと言われている.本研究では,WRFを用いた数値予測において,広島県と岡山県のXバンドMPレーダを3時間同化することにより,3時間以上前から線状降水帯の発展を予測することに成功した.また,再現計算結果より,大気下層の収束と上空の鉛直シアが継続していたことが線状降水帯の停滞の要因であることを示した.