水文・水資源学会誌
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リスク解析による渇水レベルに応じた対応方策の評価
田尻 要神野 健二河村 明
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1997 年 10 巻 3 号 p. 259-269

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抄録

 近年の少雨傾向により, 都市圏の利水安全度は実質的に低下していると考えられている. 利水安全度の低下に対する方策として, 水資源の広域利用化や安定水源として海水淡水化の導入などが着目されている. このような方策を実現するためには, 想定される渇水レベルに応じて利水安全度の応答を定量的に把握し評価できる体制の確立が必要である. そこで本研究では, 利水安全度の評価にリスク解析を導入し, 信頼度, 回復度, 深刻度および新たに総合的な指標としてDRI (Drought Risk Index)を定義した. 本報では, 想定する渇水レベルの事例として, A都市圏の中心都市であるA市における平成4年度および平成6年度の渇水を対象に, A市の水資源を周辺自治体へ融通することおよび安定水源の確保という渇水対策が利水安全度に与える影響や効果を検討した. シミュレーションによって求められるDRIをはじめとしたリスク指標を検討することは, 水道事業の広域化や水資源計画など, 施策の検討や効果の予測を評価する上で有効な手法であることを示した.

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