日本国内の山岳地域でこれまでになされた,高度による積雪水当量の増加率(係数a)に関する研究成果をとりまとめた.ここでは,文献に係数aの値が明記してあるもの,もしくは文献に表の形で高度と積雪水当量の関係が示されており,これから回帰直線と係数aの値が客観的に求められるものを取り上げた.取り上げた山岳・流域は全部で36におよび,それらは北海道から琵琶湖周辺まで,中部山岳地域を除いてほぼまんべんなく分布している.積雪調査数の経年変化には,1950年代と1970年代後半~1980年代中頃にピークが見られる.前者は水資源としての積雪が重要であった時代,後者は研究機関による調査が進んだ時代である.また,これまでの積雪調査は3月に行なわれた例が圧倒的に多く,1シーズンを通して積雪調査が行なわれることが望まれる.