水文・水資源学会誌
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チベット高原凍土地帯の地表層過程の季節変化
1. 地表層の水分・熱的状態
矢吹 裕伯大畑 哲夫上田 豊
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11 巻 (1998) 4 号 p. 324-335

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抄録

1991年10月から1993年9月までチベット高原の凍土地帯で気温,降水量の条件が同じと考えられる複数地点の土壌水分量,地温の測定とその他の情報から地表層過程の季節推移を調べた.その結果,測定を行った狭い領域で地温と土壌水分は場所により大きく異なった.冬期間に地表層の土壌水分が減少し,その損失量は5~36mmと推定できた.凍土の融解層の下面が不透水面となるため,融解面の深さの季節変化が融解層内全体の空隙量を変化させた.また同一時期の各地点の融解層の厚さの違いが,それぞれの地点の融解層内全体の空隙量の違いを生じさせ,各地点の土壌水分の差異を生じさせた.この土壌水分の差異によって融解層の形成速度,季節融解層の最大の厚さである活動層の厚さの違いが生じた.特に各地点の融解初期の土壌水分量の場所による違いは,地温と土壌水分の違いを大きくする傾向があった.1992年より1993年は積算暖度が小さいにも係わらず,両年の活動層の厚さの計算値は,それぞれ229,232cmとほぼ等しくなった.

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