IHP第5期(1996~2001年)プログラムでも提案されているように,「地球規模の水文学および生物地球化学的諸過程」の解明と「乾燥地,半乾燥地の総合的水資源管理」は今後の水文学研究にとって重要なテーマの1つである.本論文では,中米半乾燥地域および我が国の寡雨地域に位置する流域で得られた諸水文データを用い,水収支法によって年蒸発散量の特性を比較・検討した.その結果,年蒸発散比と年降水量との間にグローバルな特性を見いだし,半乾燥地域の年蒸発散比が非常に小さいことを明らかにした.そして,流域からの蒸発散量もまた,流域の乾湿と植生条件に大きく左右される傾向にあることを指摘した.