本論文では,フィルタ-AR法の2つのパラメータ,分離時定数Tcと減衰率δの同定法,原流量データから差し引かれる初期流量の評価法について扱う.長期の逓減曲線部を有する神流川の日データを対象に,Tcとδの可能値について,分離した表面,中間流流量の再現流量に対する絶対誤差,対応する応答関数を相互に比較し,次の点が明らかとなった.δについては感度が鈍いが,Tcについては誤差が相対的に小さい顕著な領域が存在する.この領域の両端から決まる時定数と降雨と流量のコヒーレンスの2つの隣接する極小値から決まる時定数が一致するように,初期流量を評価しうる.