水文・水資源学会誌
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TDR法による樹幹貯留水分の測定
小林 義和田中 正
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2001 年 14 巻 3 号 p. 207-216

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抄録

樹木の水移動プロセスを理解する上で重要な樹幹貯留水分を測定する手法としてTDR法の適用を検討した.アカマツ・ミズナラの樹幹サンプルを用いて室内実験を行った結果, あらかじめ樹種ごとに樹幹体積含水率-比誘電率 (θ-Ka) の回帰曲線を求めておけば, TDR法によって精度よく樹幹の貯留水分を測定できることが明らかになった.
アカマツの試験木を対象に, TDR法による樹幹貯留水分の測定及びヒートパルス法による樹液流量の測定を行った.TDR法から求めた樹幹貯留水分の変化は, 樹液流量から得られた蒸散に対する根系からの吸水不足とよく一致した.以上の結果から, TDR法は樹幹貯留水分を測定する優良な手法であると結論された.
さらに, 野外観測の結果から観測期間中の試験木の水収支を評価し, 日蒸散量の10~20%は樹幹貯留水分からの寄与によるものであることを明らかにした.

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