水文・水資源学会誌
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降水量データの代表性
葛葉 泰久友杉 邦雄岸井 徳雄
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2001 年 14 巻 6 号 p. 461-471

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抄録

地上気象観測データと地域気象観測データ(AMeDASデータ)を用い,降水量データの代表性について考察を行った.まず,空間的解像度の低い,前者によるデータが,「年降水量」のタイムスケールで,近隣のAMeDASデータと十分な相関を持っているのかどうかを確かめた.次に,いわゆる「日本の降水量」に関し,両者のデータを用いて算定した値の違いを調べた. 結果として,地上気象観測データは,近隣100km以内の地域で,AMeDASデータと十分な相関を持っていることがわかった.すなわち,地域代表性を有す.また,AMeDASデータにより「日本の降水量」を求めると,そのデータの不均質性故,地上気象観測データを用いたものより,近年において,「増加の傾向」が強くなることがわかった.年々変動等の傾向を求めるためには,絶対値としては真値を過少評価したものであることを認識しつつ,地上気象観測データを用いるのが適当であろう.さらに,水資源工学的な観点からよく用いられる,「46地点データ」による「日本の降水量」について調べた.年々変動の傾向は,(すべての地点を選定した)地上気象観測データのそれと類似しているが,絶対量としては極めて過少評価がなされていることに注意すべきである.

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