水文・水資源学会誌
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沖縄本島都市域における熱収支の季節変化
下瀬 龍木村 玲二石島 英
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2002 年 15 巻 1 号 p. 51-59

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抄録

本研究では沖縄本島都市域における熱収支の季節変化について検討した.まず初めに,熱収支計算の妥当性を冬,夏,初冬に行われた赤外線放射温度計による地表面温度の観測値で検証した.地表面温度の計算値のRMS誤差は1.1℃であった. 流域面積の約90%が都市で構成された比謝川流域の流出量データを用いて,年蒸発量の算定をした.1984年から1997年までの年蒸発量は平均年降水量1,877mmに対して280±25mmであった.さらに,熱収支計算による沖縄本島都市域の年蒸発量と他の熱収支成分を推定した.1989年から1999年までの年蒸発量の計算値は平均年降水量1,988mmに対して368±42mmであった.これらの推定結果より,沖縄本島都市域における年蒸発量は本研究で扱った年降水量の範囲内ではほぼ一定値に近づくことが示唆された.平均年地表面温度,顕熱フラックス,潜熱フラックスはそれぞれ25.6℃,52.3Wm-2,28.5Wm-2であった.

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