水文・水資源学会誌
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tensionic法を用いた土壌水のpH測定
濱田 洋平田中 正
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2002 年 15 巻 6 号 p. 594-604

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抄録

溶存CO2の脱気とそれに伴うpHの上昇を抑えるため,tensionic法を用いた土壌水のpH測定法を開発し,その有効性を検討した.埋設型テンシオメーターに充填された蒸留水のpHは,他の溶存イオンに比べてすみやかに周囲の土壌水と平衡に達した.この事実は,溶液中におけるプロトンの特異な移動機構とそれに起因する高い拡散係数によって理論的にも支持された.溶存イオンが平衡するまでに要する時間は,土壌が乾燥しているほど長くなる傾向を示した.テンシオメーター内に貯留された水のpHは土壌懸濁液より低く,同じCO2濃度条件下に置いた純水が示す値より高くなった.測定されたCO2や溶存イオンの濃度から,前者はCO2の溶解,後者は陽イオン交換反応による結果であることが示唆された.以上のことからtensionic法を用いることにより,土壌中の高CO2濃度条件下における土壌水のpHを測定することが可能となる.

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