1989 年 2 巻 1 号 p. 61-69
本論文では植生による気候緩和効果を定量的に把握し, そのメカニズムを考察するため風洞付ライシメター (土壌部・風洞部からなり人工降雨装置を備えている) を2台作成し, 1台には草を植え, もう1台は裸地のままとして比較実験を行った.気流に関しては日射量, 気温, 湿度, CO2濃度を測定し, 土壌については土壌水分量と土壌温度を測定した.
植生風洞では気温, 湿度, CO2濃度にいずれも裸地に比べ大きな変化が認められ, 植生の蒸散および光合成により周囲の大気環境がかなり緩和されることが確かめられた.
また我々の開発した「土壌-植物-大気」モデルを用いた数値計算により実験結果について簡単な検証・考察を行った.