水文・水資源学会誌
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有限要素法による林地斜面浸透流の数値実験
坪山 良夫三森 利昭
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1989 年 2 巻 2 号 p. 49-56

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抄録

斜面流出に与える森林の影響を数値実験により検討した.実験は同一斜面を対象に樹冠遮断と蒸発散の条件を変えて行われ,その結果以下の事柄が示唆された. 1)根系の吸水は地面蒸発に比べ斜面乾燥による抑制を受けにくいため,流出の逓減は裸地斜面より森林斜面の方が早い. 2)同じ理由から根系の吸水は地面蒸発に比べ斜面土層のより広範な部分に土湿不足をもたらし,降雨に対する流出の応答を緩やかにする. 3)樹冠遮断は総量と強度の両面で地表到達雨量を減少させ,出水の遅延とピーク流量の低下をもたらす.

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