降水量の度数分布は,集計する時間単位が長くなるにしたがって逆J字型・指数・正規型と変化する.1時間から30日間にわたる,この変化の季節的・地域的特徴を,日本全国を対象にAMeDASデータを用いて調べた.度数分布のあてはめにはガンマ分布を,その母数推定には最大エントロピー法を用いた.度数分布の形状は,対数幾何平均のもつ情報量によって定量化した. 以下,得られた知見について述べる.1) 寒候期において,度数分布が指数分布となる集計時間は,日本海側で短く,太平洋側で長い.この地域差は,降水をもたらす主要な擾乱がそれぞれの地域で異なり,擾乱によってその時系列特性が異なることから理解される.2) 短時間での対数幾何平均のもつ情報量には,“雨の降り方”が“地雨”で代表されるか,“しゅう雨”で代表されるかに対応する,日本列島における南北差が認められた.