本研究では, 琵琶湖における水文, 水理, 水質, 生態について1年間を基本サイクルとする季節変動特性を分析するとともに, 水環境の季節変化の平均的な様相を暦として表現することを試みた.その結果, 水文暦は降水量の季節変化にもとづいて, 水理暦は北湖水温成層の形成・崩壊過程にもとづいて, 水質暦は栄養塩, 有機物, 植物プランクトンなどの季節変化にもとづいて, 生態暦は植物プランクトン, 水生植物, 底生動物, 魚類などの季節変化にもとついて, それぞれ季節区分と節目が設定できることが示された.このような水環境暦の作成は, 湖沼の水環境に関する既往の知識, 知見を整理し, 全体像を把握するとともに, 実際管理の支援システム構築の有力な拠りどころとなり得るものである.