日本における河川経済調査方法の現状を総括し,社会的費用・便益の発生要素全体に対する現行調査方法の対象範囲を明らかにした.そして,各種の非市場財評価手法の適用性を論じた.その結果,これらの手法の一部は河川経済調査手法の総合化のために有用であると思われるが,どこまで現行の評価体系に組み入れられるか結論を出すためには国内における実積の積み重ねが必要であることを明らかにした.さらに,その結論を出すときの判断基準は,調査の実施によって生じるX非効率の増大を上回る配分の非効率の減少が得られる見込みがあるかどうかという点であることを明らかにした.また,諸外国における非市場財評価手法の応用について若干の補足議論を行った.