1993年4月,北海道・幾春別川で,融雪からの土砂流出の機構を解明するため,その流出についての連続観測を実施した.河道の一点で得た流量と浮遊物質濃度は,互いに常に同位相で変化し,無降雨時には,明瞭な日変化を示した。また,河道沿い2点での同時観測では,土砂流出量(=流量×浮遊物質濃度)はほぼ下流方向に増加する傾向を示した.この浮遊物質は,95wt.%以上がシルト及び粘土から成り,水面から90%深の範囲でほぼ一様に分布した.この供給源を特定するため,粒度・鉱物組成について,流域内の露頭基盤上堆積物,及び河岸・河床堆積物との比較を行った.結果として,浮遊土砂の主な供給源は,河道沿いの基盤斜面上に堆積した風化土壌であり,その単位時間単位面積当りの浸食量は,河川流の剪断応力にほぼ比例することがわかった.