水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
ISSN-L : 0915-1389
中央アジアのバルハシ湖流域における水収支の動態
カダル松山 洋野上 道男
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 9 巻 3 号 p. 240-251

詳細
抄録

中央アジアに位置する内陸湖であるバルハシ湖の流域水収支の経年変化について,降水量と河川流量データを用いて調べた.また人工衛星データを用いて湖水面積の経年変化を調べた従来の研究との比較も行った.バルハシ湖では,湖への流入量の80%を占めるイリ川中流部にカプチャガイダムが完成し,人為的流量調節が行われているため1970年以降湖水面積が縮小しているが,湖の面積の縮小にはこのほかにイリ川上流部の流量が近年減少傾向にあることも効いている.そして, 1970年代以降のバルハシ湖の水位の変動幅は過去の自然変動の範囲内であり,低下速度もとり立てて速くないことが明らかになった.

著者関連情報
© 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top