水文・水資源学会誌
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パイプなどの水みちが発達した斜面土層からの流出水の逓減特性
谷 誠阿部 敏夫
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1996 年 9 巻 5 号 p. 425-437

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抄録

不均質な流出経路をもつ斜面からの流出に土壌物理性などの斜面特性が及ぼす影響を明らかにするため,底面にパイプなどの水みちが発達した土層が不透水層上に存在するとした斜面土層モデルを提示して,流出逓減特性を検討した.土層には二次元飽和不飽和浸透流モデルが適用できるとし,土層底面からの流出は十分発達した水みちにより斜面下方へ排水されると仮定した.底面からの排水流出QVと斜面方向への浸透流出QLは,逓減特性が著しく異なった.山地小流域の実測流量と比較したところ,QVは観測された洪水流よりも著しく速い逓減を示し,QLは観測された長期無降雨時の基底流に近い逓減特性を示した.水みちにおける流出にかかわる遅れ時間を考慮すると,QVは水みちを通ることにより洪水流に寄与し,QLは基底流に寄与すると考えられた.また,QV, QLと土層内の貯留量とに関数関係が得られ,斜面特性の流出モデルへのパラメータ化の可能性が示唆された.

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