1996 年 9 巻 6 号 p. 520-527
可撓性を有する植生場においては,風の流れと植生の揺動(穂波)が関係を持ち,複雑な乱流構造を形成している,本研究では,乱流構造の特性及び乱流による植生内外の運動量・顕熱輸送を調べるため,多摩川河口部に広がるアシ原において現地観測を行った.その結果,植生場に起こる上昇流(イジェクション)と下降流(スウィープ)によって形成される大規模組織渦を捉えた.植生頂上境界部での温度変動では,徐々の上昇とその後の急激な下降(ランプ現象)が確認され,運動量・顕熱輸送の特徴が明らかとなった.風速の変動と温度の変動には,位相のずれがあり,4象限解析で大きな歪みが見られた.