本報は,石川県において,森林環境税を設置することにより,手入れ不足の人工林を整備し,それが契機となって,過疎地域の雇用を創出した経緯を述べたものである。税の新設には,何よりも県民の理解が重要であるが,このための「いしかわ森林環境税基金条例」の制定や,「税の使途」を森林の公益的機能に限定し,森林整備後20年間の皆伐や転用規制,40%の強度間伐条件下での森林所有者との合意形成の努力がこの制度の成否の鍵となった。そのその結果,毎年約2,000haの森林整備が実施され,過疎地に新たな雇用を創出し,過疎地の活性化に貢献しつつある。