農業農村工学会誌
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農業排水路に設けられたワンドが生態系の回復にはたす効果
広瀬 慎一瀧本 裕士橋詰 巽
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2009 年 77 巻 6 号 p. 469-472,a2

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抄録

玄手川は,近年水路底を近自然工法で改修されたが,トミヨの繁殖を図るため,中流部に全長102mの生態系保護区(以下ワンド)が設けられた。水生植物の植被率は,工事施工後2年4ヵ月で78.1%とほぼナガエミクリを優占種とする極相に達した。極相に到達する速度は近自然工法で施工された本川の倍であった。トミヨの水草面積当たり推定生息密度は,本川の近自然工法施工前で2.2匹/m,施工後8年目1.7匹/m,ワンド施工後1~8年で平均4.3匹/mであった。以上より,ワンドでは水生植物およびトミヨの生育の観点から,良好な環境を形成しつつあり,玄手川の生態系保全において,本川の近自然工法とともに重要な役割を果たすことが期待できる。

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© 2009 公益社団法人 農業農村工学会
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