本報は,農林水産省が「鳥獣被害防止対策の手引」の作成を目的に実施した,モデル集落での対策の試行や鳥獣被害対策の事例収集などの調査をもとにしたものである。同調査のうち,山間地域のモデル集落における住民参加型の調査から対策までの試行について記述する。モデル集落での調査は,現地踏査や聞き取り調査により地域に存在する被害の要因を細やかに把握し,地域住民の自助努力による持続的な取組みを推進するために,PDCAサイクルを意識して実施した。このモデル集落での調査は,約2年の期間に,現地踏査,聞き取り調査,学習会,対策検討会,現地対策実施,実施状況の確認等を行った。