農業農村工学会誌
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東京に現存する水田地帯の特徴とその意義
皆川 明子西田 一也千賀 裕太郎
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2010 年 78 巻 7 号 p. 567-570,a1

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抄録

農村地域では大部分の水田が近代的圃場整備を終えつつあるのに対し,東京都多摩地域に現存する水田地帯は用排兼用の未整備水田が多い。また,全国的に水稲作期が早期化した中で,多摩地域の田植え時期は現在も6月の梅雨期と重なっており,ドジョウやフナなど水田を繁殖場として利用する魚類にとって好適な環境を維持している。また,崖線,湧水も水田地帯と一体的に存在することから,湧水や樹林帯に生息する生物も含めた多様な生物が生息している。相続や宅地化によって水田は大きく減少しているものの,都市住民の農地保全意向は年々高まっており,消費者と近いからこそ生き物のにぎわいある水田を活かした農業の展開に可能性があると考える。

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© 2010 公益社団法人 農業農村工学会
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