2010 年 78 巻 7 号 p. 575-578,a2
平成18年から平成19年において,千葉県の農業土木職員を中心に実施された田んぼの生きもの調査の結果をもとに,水路の断面構造や堆積物の有無などが魚類に及ぼす影響について,ノンパラメトリック検定等による分析を行った。その結果,土水路と2面護岸の魚種数には有意差がなく,また3面護岸と比較すると,土水路と2面護岸の魚種数が有意に大きかった。一方,本調査では堆積物の有無および水深の深浅による魚種数への影響は明らかではなかった。土水路は他の断面構造よりも希少種数が多く,魚類に良好な生息環境を形成していると考えられるとともに,2面護岸では土水路と同程度の魚種数が保全される可能性があることが示唆された。