本報では,ガーナ中部地域のアシャンテ州クマシ市近郊での調査結果をもとに,天水低地稲作および灌漑稲作の基盤整備,栽培,ポストハーベストの現状を紹介した。そして,天水低地稲作から灌漑稲作への転換を進める農民を増やすための課題および必要な対策について検討した。その結果,無秩序な水利用,新墾工や耕起に伴う労働増加,稲わらなど有用資源の未利用,収穫後の品質劣化,移転された技術の劣化などの課題が見受けられた。これらの対策として,流域単位の水資源管理,機械化営農の推進,有用資源を使った堆肥製造,ポストハーベストの改善,継続的な技術サポートなどを提案した。