国営かんがい排水事業「新矢作川用水地区」は,平成6年度に着工し,平成23年度に完工の予定である。本事業では,老朽化の著しい開水路の幹線水路をパイプライン化する更新整備を行っているが,平成15年度に計画変更を行い,国営農業用水再編対策事業(地域用水機能増進型)へ移行し,パイプライン化により低下が懸念される景観保全や親水などの地域用水機能の維持・増進に資するため,支線水路の一部区間を石積み水路として幹線水路と一体的に整備している。本報では本事業において実施している地域用水機能増進の取組みの中から,特徴的な北野支線水路を事例に,住民参加によるワークショップによる整備構想策定,工事実施の段階での住民参加型施工(直営施工)の実施状況,完成した上部利用施設の地域住民による管理と施設利活用状況について紹介する。