農業農村工学会誌
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ラオス北部山岳地域における天水田導入の効果
柏木 淳一棚橋 麻衣子藤原 洋一小田 正人
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2012 年 80 巻 5 号 p. 345-348,a1

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抄録

休閑期間の短縮にともなって,陸稲収量の著しい低下が問題となっているラオス北部焼畑地域において,天水田の導入効果について検討した。天水田区の面積は212.5m2,集水面積は約4,000m2であった。天水田区の収量は,2.46Mg ha-1であり,耕地の大半を占める斜面区の収量の8倍であった。連作により,収量は前年の約65%に低下したが,天水田区と同様の地形条件にあり,均平と畦畔を造築していない脚部区と比べても高い収量を維持していた。天水田区は,斜面からの養水分の受け皿として機能しており,斜面区に比べて土壌養分・土壌水分の点で,脚部区と比べても土壌水分保持の点で陸稲生産に有利であった。また可給態リンを制限要因と仮定した場合,天水田区での連作は4年間可能であり,流域レベルでの生産性の安定化に貢献できることが示された。

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© 2012 公益社団法人 農業農村工学会
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