未曾有の被害を引き起こした東日本大震災において,政府は,最大50万人の被災者を対象に食料調達支援を実施し,企業の被災,輸送手段の被災による原材料の不足,風評による買占めなどにより,困難を極めるなか,40日間にわたり,約2,600万食を供給した。調達は,全国35の都道府県から,のべ1,620品目に及び,企業の協力により実施された。本報は,農林水産省において,この調達に携わった筆者が,今後,東日本大震災以上の規模で発生が予想される関東,東海,東南海地震に備えるため,業務の中で収集したデータを詳細に分析し,政府による緊急食料調達の課題と提言を示したものである。