2013 年 81 巻 12 号 p. 989-992,a1
持続的な農業や豊かな地域生態系の形成は,水や土砂の動態をはじめとする物質循環が基盤となっており,農地などの斜面における土壌侵食(水食)や河川などの水域における土砂流出は水循環と並び物質循環の基礎として位置づけられる。米国農務省で開発された土壌侵食・土砂流出解析モデルであるWEPP(Water Erosion Prediction Project)は,農地などの斜面における土壌侵食に加え,流域における土砂の流下過程も表現可能なプロセスベースのモデルであり,実態の再現,広域評価,土木的対策方法や営農的対策による効果の算定などに用いることができる有力なモデルである。本報では,多くの研究者や技術者が本モデルを適用できるようになることを目的に,モデルの長短所,適用方法および入力データの整備方法,沖縄地域への適用事例,将来的な展望について報告する。