2013 年 81 巻 2 号 p. 109-112,a2
山形県最上川中流土地改良区は,山形市ほか2市1町の約4,000haを受益地に持ち,昭和44年度に設立されている。昭和47年度より国営最上川中流農業水利事業を着工し,事業の一部である導水路の高低差106mの減圧として水力発電を計画したが,国営事業による発電所の建設は,管理に関する国からの通達が未了であったことなどから断念した。土地改良事業において小水力発電の整備を一体的に実施することが一般的でなかった昭和57年度に,最上川中流土地改良区が全額出資の株式会社を設立し,61年度から発電事業を実施している。本報では,発電施設の状況と,併せて土地改良区の小水力発電の取組みが株式会社設立に至った経緯,現在抱えている課題,および今後の方向性について報告する。