福井県の一大穀倉地帯である福井・坂井平野において,国営農業用水再編対策事業「九頭竜川下流地区」を実施している。本事業は,老朽化した農業用水をパイプライン化し,あわせて地区内の農業用水の再編を行うものである。事業効果の一つに,米の品質向上が挙げられる。米の登熟期である夏場の高温が近年,米の等級を下げる要因となっており,これに対して九頭竜川中流部で取水された冷たい水を,パイプラインを経由して夜間に灌漑することで,水田の温度上昇を抑制することが期待される。パイプラインが一部供用を開始して以降,夜間灌漑実証試験を関係機関と連携して実施しており,この取組みおよび収穫米の評価について紹介する。