東日本大震災における数多くのため池被害などにより,全国で約1万4千カ所の警戒ため池などで,ため池減災のためのハザードマップ作成などソフト対策が急務とされている。各都道府県で整備されている水土里情報などデータベースを活用して簡易氾濫解析およびハザードマップ作成を行うことにより,詳細解析に比して大幅な低コスト化が可能になるが,現在の簡易氾濫解析システムでは詳細地形,破堤条件などが考慮されていないために実情に即した精度の良い氾濫解析を行うことができない。そこで本報では,従来の簡易氾濫解析手法の改善を行って上記各項目を考慮した解析を可能としたので,その概要を示すとともに,典型的なため池の事例で改善効果を示した。