塩害を受けた水田を復元するために必要な排水性改良の方法として畝立てに注目し,東日本大震災の際に海水の浸入した宮城県岩沼市の水田において,畝立てによる排水性改良の効果とそれに伴う地下水位や地下水中の塩分濃度の変化を調べた。20cmの畝立てにより,6~8月の栽培期間中,深さ15cmまで1日以上継続した飽和状態が見られず,この地区の水田において排水が改良され水田の汎用化が実現できると判断された。地下水中の塩分濃度は時期により変動し,降雨後は濃度が上昇する場合と低下する場合があった。地下水中の塩分濃度はこれまでに示されている許容塩分濃度を下回ることができなかったことから,本地域では他の排水性改良法を検討するとともに,地域の排水強化が早急に必要であると結論づけられた。